WordPressは、初心者から上級者まで幅広く利用されているWebサイト作成プラットフォームですが、ユーザー管理の「権限グループ」を理解することは、安全かつ効率的な運営の鍵となります。
本記事では、WordPressの権限グループの概要、それぞれの役割やユーザー追加の手順、セキュリティ対策について詳しく解説します。
WordPressの権限グループとは?
WordPressの権限グループとは、サイトに登録された各ユーザーに割り当てられる操作の範囲を定めた役割のことです。ユーザーがWordPressサイト内で実行できる操作(投稿作成、編集、サイト設定の変更など)は、この権限グループによって制御されます。
権限グループの仕組みにより、サイト運営者はユーザーのアクセス権限を細かく設定し、サイトの安全性や効率的な運営を実現できます。
WordPressにはデフォルトで以下のような「権限グループ」が用意されています。
- 管理者 (Administrator):サイト全体の管理権限を持つ。
- 編集者 (Editor):投稿や固定ページの編集・管理が可能。
- 投稿者 (Author):自分の投稿を公開・編集可能。
- 寄稿者 (Contributor):投稿を作成できるが、公開はできない。
- 購読者 (Subscriber):サイトのコンテンツを閲覧するだけの権限。
この仕組みにより、ユーザーごとに異なる権限を設定し、必要に応じて操作範囲を限定することが可能です。
WordPressの権限グループの必要性
権限グループを正しく理解し、適切に設定することは、WordPressサイトの運営において以下のような理由で重要です。
1. セキュリティの強化
誤った権限の付与は、サイトのセキュリティリスクを高める原因となります。例えば、投稿だけを行うはずのユーザーに管理者権限を与えると、サイト全体の設定を変更される可能性があります。権限を適切に管理することで、不必要なリスクを回避できます。
2. 運営効率の向上
権限グループを活用することで、ユーザーごとに明確な役割を与えることができます。例えば、寄稿者には記事の作成のみ許可し、編集者が最終確認して公開する、といった運用が可能です。このように権限を分担することで、効率的な運営が実現します。
3. 誤操作の防止
特に初心者や一部のメンバーが誤って重要な設定を変更することを防げます。適切な権限を割り当てることで、想定外のトラブルを未然に防ぐことができます。
4. 柔軟な運営が可能
WordPressでは、デフォルトの権限グループに加え、プラグインを活用してカスタマイズすることも可能です。例えば、特定の投稿タイプのみ編集できる権限を作成することで、運営方針に応じた柔軟な権限設定が行えます。
WordPressの権限グループの種類
各ロールに関係して、ユーザーが行える機能の違いを要約すると以下の通りです
特権管理者(Super Admin)
- 権限レベル:WordPressマルチサイト専用(※)
- 適用例:WordPressマルチネットワークを運用するサイト管理者。
※WordPressのマルチサイトとは、1つのWordPressインストールで複数のサイトを管理できる機能のことです。
マルチサイトネットワークの管理者で、複数のWordPressサイトで全ての操作が可能です。
管理者(Administrator)
- 権限レベル:最上位
- 適用例:サイトのオーナーや全体管理を担当する人。
WordPressの全操作が可能ですが、一つのサイトのみに限られます。
編集者(Editor)
- 権限レベル:高
- 適用例:投稿コンテンツの管理責任者。
- 制限事項:プラグインやテーマの操作、ユーザー管理は不可。
記事の管理は全て可能だが、「外観」「プラグイン」「設定」などの管理機能は設定不可
投稿者(Author)
- 権限レベル:中
- 適用例:定期的に記事を投稿するライター。
- 制限事項:サイト設定や管理にはアクセスできない。他のユーザーの投稿の編集は不可。
自分の投稿の作成・編集・公開と、メディアライブラリへのファイルアップロードが可能
寄稿者(Contributor)
- 権限レベル:低
- 適用例:ゲストライターや投稿を提案する外部関係者。
- 制限事項:投稿の公開権限はなし(編集者や管理者の承認が必要)。メディアライブラリへのアクセス不可。
投稿の作成と編集は可能ですが、公開はできません。また、他人の作成したコンテンツは閲覧できません。
購読者(Subscriber)
- 権限レベル:最低
- 適用例:有料会員制サイトや登録ユーザー専用コンテンツの閲覧者。
- 制限事項:投稿や編集の権限なし。
自分のプロフィールのみ編集可能で、ログインが必要なサイト内のコンテンツを閲覧できます。
WordPressのユーザー権限を設定する方法
WordPressのユーザー権限を設定するには、管理画面から以下の手順で行います。
- 「ユーザー」>「新規ユーザーを追加」を押す
- 権限を追加したいユーザーの名称(ニックネーム可)とメールアドレスを入力
「パスワードを生成」を押し、そのパスワードをコピーします。パスワードは複雑で協力なパスワードが生成されます。
- 権限を選択し、目的のロールを選びます。
- 「新規ユーザーを追加」を押して完了です。
WordPressの権限グループのセキュリティ対策
WordPressサイトを安全に運営するためには、権限グループを適切に管理することが重要です。以下では、権限グループを活用したセキュリティ対策を具体的に解説します。
最小権限の原則を徹底
ユーザーには「必要最低限の権限」しか付与しないことが基本です。不要な権限を与えると、操作ミスや意図しないセキュリティリスクを招く可能性があります。
- 管理者権限は信頼できる少数のユーザーに限定。
- 投稿者や寄稿者にはコンテンツ作成権限のみを付与。
- 定期的に権限を見直し、不要な権限を削除する。
管理者権限の共有を避ける
管理者権限を複数のユーザーで共有することは避けましょう。共有すると、操作履歴が特定のユーザーに紐づけられず、不正やミスを追跡できなくなります。
- 必要であれば、他のユーザーに「編集者」など適切な権限を割り当てる。
- 管理者権限が必要な場合でも、一時的に割り当てて作業後に元に戻す。
ユーザーアクティビティを確認する
すべてのユーザーが適切な操作をしているかを確認するために、ユーザーアクティビティを記録・確認します。これにより、権限の不正利用や操作ミスを早期に発見できます。
- Activity Logプラグインを使用して、ユーザーの操作履歴を記録。
- 不審な操作を見つけた場合、直ちに該当ユーザーの権限を見直す。
定期的に権限を見直す
運営方針の変化やユーザーの役割変更に応じて、権限設定を定期的に見直しましょう。
- 不要になったユーザーアカウントを削除する。
- 退職者やプロジェクト終了メンバーの権限を速やかに無効化する。
- 定期的に「誰がどの権限を持っているか」を確認し、不適切な権限を解除。
ログイン情報の安全管理
権限グループの安全管理には、ユーザーのログイン情報を適切に保護することも欠かせません。
- 強力なパスワードを設定し、定期的に変更を促す。
- 二段階認証を導入し、不正ログインを防止。
- WP SiteGuardなどのプラグインを導入し、ログインURLを変更してブルートフォース攻撃(※)を防ぐ。
※ブルートフォース攻撃とは、推測可能な全てのパスワードの組み合わせを試すことで、不正にログインを試みる手法です。
不要な権限を無効化する
一部のユーザーには、特定の操作権限を制限したり、無効化したりすることでセキュリティを向上できます。
- 投稿権限の制限:一部の投稿者が特定のカテゴリーにしか投稿できないように設定する。
- 管理画面のアクセス制限:購読者や一般ユーザーが管理画面にアクセスできないように設定する。
バックアップの実施
権限設定に関係するトラブルが発生した場合に備え、定期的なバックアップを行いましょう。
- レンタルサーバーの自動バックアップ機能を使う
- 信頼性の高いバックアップ・プラグインを使う
インターネット環境やご利用機器
WordPress以外にも公衆WiFiでインターエットを使用していないか、スマホやPCなどのご利用機器、ブラウザ、レンタルサーバー側のセキュリティ設定もご確認ください。
まとめ
WordPressの権限グループを適切に理解し管理することは、セキュリティ強化や運営効率の向上に欠かせません。本記事で紹介した内容を活用すれば、ユーザーごとの役割を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
特に、最小権限の原則を守ることや定期的な見直しを行うことが、サイト運営を安全で効果的にするポイントです。これを機に、WordPressの権限設定を見直し、より安心して運用できる環境を構築してください。
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