先日、Abema Prime(アベマプライム)で「機能的非識字」が特集されているのを視聴し、衝撃を受けました。
番組内では、文字を読めても内容を理解できず、生活や就労に支障をきたしている人の存在が紹介されていました。
今回は、ライターやブロガーが知っておくべき「機能的非識字」の問題と、該当者への理解や伝わる文章術を学ぶヒントをご紹介します。
機能的非識字とは?
出典:Abema Prime
機能的非識字(functional illiteracy)とは、文字の読み書きはできても、日常生活で必要な情報を理解・活用できない状態を指します。たとえば以下のようなケースが挙げられます。
- 役所の申請書類の内容が理解できない
- 職場のマニュアルを読んでも業務がうまくこなせない
- 薬の説明書きや契約書の要点がつかめない
読み書き自体はできても「実用的な理解と応用」ができず、勘で判断してしまう。これが機能的非識字です。
日本にも多く存在する「読めるけど理解できない人」
日本は世界でも識字率が高い国のひとつとされていますが、OECDの調査(PIAAC)によると、成人の約10%は最低限の読解力を満たしていないという報告もあります。
特に、知能面でハンデのある境界知能(IQ70〜84)の人々の中には、読み書きができても理解や応用に困難を抱えるケースもあります。見た目や会話では分かりにくいため、支援が届きにくい問題があります。
参考文献:
- Survey of Adults Skills 2023: Japan(成人スキル調査 2023: 日本) | OECD
- 境界知能とは 特徴は 検査でIQ81と判明した女性 仕事や学習で長年悩むも“支援がない”|NHK
読者の“読解力の前提”を間違えると、文章は伝わらない
ライターやブロガーがやりかねないのが、「読者もこれくらいは知っているだろう」「この表現は常識的に通じるだろう」という前提で書いてしまうことです。
しかし、その読者が機能的非識字の傾向を持っていた場合、文章の意味が伝わらず、途中で読むのをやめてしまうかもしれません。
もちろん、すべての文章を「誰にでも理解できる内容」にする必要はありません。専門性の高い読者を想定しているのであれば、その前提に合わせた書き方が最適です。
重要なのは、「誰に向けて書くか」を明確にし、その読者が理解できる表現で書いているかどうか。それを見誤らないことだと思います。
機能的非識字の人にも届く文章とは?
以下は、読解力に不安がある読者にも伝わりやすくなるWritingの工夫です。
- 一文一義:一文に複数の内容を詰め込まない
- 具体例を使う:「たとえば〜」とイメージしやすくする
- 難しい言葉は言い換える:専門用語に簡単な補足をつける
- ビジュアルで補う:箇条書きや表、図解を使って視覚的に伝える
読解力に差があることを前提にした文章設計が、伝わりやすいライティングへの第一歩だと思います。
まとめ|伝えるには、まず“理解できる”ことを意識しよう
この機能的非識字から学べることは、文章が伝わらないのは書き手の力量不足だけではなく、「読者の理解力とのギャップ」にあることも多いと思います。
読者にとって“やさしい文章”とは、語彙を単純にするだけではなく、「わかりやすく、伝わりやすく、実用的に理解できる文章」です。
ライターやブロガーこそ、機能的非識字の問題を知っておくことで、「誰に向けて書いているのか?」を再確認し、ペルソナに応じた文章設計ができるようになるはずです。
万人に向けて書く必要はなく、「想定した読者にしっかり届く」ことこそが、伝わる文章なのです。